補聴器購入に、保険をはじめとする補助金・助成金制度は適用できるの?
補聴器の購入を検討されている方の中で、
「私が加入している保険は、補聴器購入において適用の対象になるの?」
という疑問を抱いている方も多くいらっしゃると思います。
しかし、残念ながら、現時点では介護保険や健康保険などの適用は認められておりません。
ただ、対象者によっては、購入者の負担が軽くなる制度が他に存在するので、本記事ではそちらを徹底的に解説していきたいと思います!
補聴器の購入者の負担が減る3つの制度
補聴器は平均価格が15〜20万円(片耳)とは非常に高い買い物であるため、購入する上で少しでも安くなる制度があれば良いですよね。
しかし、補聴器の購入は保険の適用外であり、健康保険や生命保険、介護保険などの保険は全て適用させることができません。
ただ、補聴器購入において購入者の負担が軽くなる制度が大きく分けて3種類あります。
それは:
1)「身体障害者福祉法」による補装具費の支給
2)医療費控除の申請
3)地方自治体からの給付金
の3つです。それぞれを詳しく見ていきましょう!
(※なお、制度利用におけるルールは、お住まいの自治体によって異なります。精度を利用される際には、必ず市区町村の担当窓口までお尋ねください。)
補助を受ける方法①:「身体障害者福祉法」による補装具費の支給
補聴器購入において補助を受ける方法の1つ目が、身体障害者福祉法という法律に基づいて、規定されている障害程度であることの認定をもらうことです。
対象者は、補装具を必要とする障害者、障害児、難病患者等で、なおかつ以下の耳鼻咽喉科での適合判定において基準を満たした者になります。
(※ただし、難病患者等については、告示に定める疾病に限る)
また利用者は、原則定率で1割負担となります。
身体障害者福祉法の第十条二のニには、
必要に応じ、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第二十五項に規定する補装具の処方及び適合判定を行うこと
とあり、これに則って、指定された耳鼻咽喉科にて適合判定を受けていただきます。以下の基準を満たしていると判定された場合、支給の対象者となります。
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両耳の平均聴力レベルが70dB以上の場合
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片耳の平均聴力レベルが90dB以上、もう一方が50dB以上の場合
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両耳による通常の会話での最良語音明瞭度が50%以下の場合
認定された後、お住まいの市区町村の福祉事務所もしくは身体障害者福祉担当窓口で補装具費支給の手続きを行います。
手続き後、自宅に支給の決定通知書と補装具費支給券という支給に必要な書類が送られてくるので、そちらを補聴器購入時に提出いただき、補聴器を購入した後、手続きを行った福祉事務所にて領収書などを提出していただき、指定の額を請求いただきます。
補助を受ける方法②:医療費控除の申請
平成30年より、補聴器購入において医療費控除を受けられることが、厚生労働省と財務省によって承認されました。
医療費控除とは、税務署に確定申告における医療費控除対象として申請することで、所得税ならびに住民税が安くなる制度のことです。
①の「身体障害者福祉法」による補装具費の支給を受けるには、「身体障害者」として認定を受ける必要がありましたが、こちらの場合はその必要がありません。
つまり、「身体障害者としての認定基準には足らないが、日々の生活の質を向上させるために」補聴器を購入したい人におすすめの制度です。
次の手順で、医療費控除を受けることができます。
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難聴患者は、まず補聴器相談医を受診し、必要な問診・検査を受ける。
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補聴器相談医は「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」に必要な事項を記入し、患者に手渡す。
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患者は補聴器販売店に行き、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を提出し、試用の後、補聴器を購入する。
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患者は「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の写しと補聴器の領収書を受け取り、当該年度の確定申告における医療費控除対象として申請し、保存する。
(一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 「補聴器購入者が医療費控除を受けるために」から引用)
補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)を受け取り、申請すれば、医療費控除の対象者となるので、対象者の幅は広いものの、所得税と住民税の圧縮になるだけですので、①と比較すると、そこまで安くはなりません。
補助を受ける方法③:地方自治体からの給付金
補聴器購入者に対し、助成する地方自治体があります。
詳しくは、一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会ホームページに記載されている、補聴器に関する助成事業を行っている地方自治体の詳細をご覧ください。
まとめ
◆補聴器の購入に保険は適用できない
◆補助を受ける方法は3つ
①「身体障害者福祉法」による補装具費の支給
→自己負担が1割と、かなりおトクに購入できるが、支給されるためには「身体障害者」として認定を受ける必要があり、対象者はかなり少ない
②医療費控除の申請
→補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)を受け取り、申請すれば、医療費控除の対象者となるので、対象者の幅は広いものの、所得税と住民税の圧縮になるだけで①と比較すると、そこまで安くはならない
③地方自治体からの給付金
→地域によってもバラバラ
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以上、補聴器購入における制度を3つご紹介しましたが、「TVの音が聞こえづらくなったな」「会話や打ち合わせで聞き返すことが多くなった」ような方には、まずは集音器の購入がおすすめです。
詳しくは、集音器とは?定義や使用におけるメリット・魅力について解説!の記事をチェックしてみてください。
補聴器でもない、集音器でもない、新しい形の聴覚サポートイヤホン
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アメリカでは補聴器として医療機器認定を受けたデバイスですが、日本では医療機器としては販売しておらず、一般的なイヤホンと同じようにお店でお買い求めいただけます。
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【参考文献】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/aiyo.html(厚生労働省 「補装具費支給制度の概要」)
http://www.jibika.or.jp/members/iinkaikara/fukusi_koujyo.html(一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 「補聴器購入者が医療費控除を受けるために」)
https://www.zennancho.or.jp/hearing_aid/hearing-aid-welfare-intro/(一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会「補聴器に関する助成事業を行っている地方自治体」)
http://www.hochouki.com/select/support.html(一般社団法人 日本補聴器工業会「補聴器ライフを楽しもう!」